前垣和義の笑う講義

 

●「笑い講義」をまじめに受講していただきますと、もれなく「おちょくり精神」が鍛えられます。ヒトと話をしていても、ついついちゃちゃを入れたくなり、「ふざけた奴ちゃ」と抗議を受けることもありましょう。これは、大阪では受けて、東京では嫌われる原因になります。「ゆんべは暑かったなあ」。「熱帯夜やったで」「どうりで、うちの金魚、みんな熱帯魚になっとった」。大阪人は、こう言い合って笑います。東京人からすれば、最後のフレーズが不要なのです。一言が余計なんだと、顔をしかめます。しかし、大阪人にすれば、これが大事なのです。それがあるからこそ、人間関係が丸くなるのですね。これは、「文化の差」以外、なにものでもありません。進したわけだ。

 

[語句説明]

 

【おちょくる】 

からかう。ばかにする。ふざける。なぶる。元関西方言。

 

【ちょくる】 

人をからかうの意味。これは青森・岩手・福島会津・新潟一部・京都一部・鹿児島の方言。

 

動物園の「はげたか」の檻の前に「はげたか」と書いてありますが、これは「おちょくり」ではありません。が、「失礼な。それを書いてもってきた若者は私どころではなかった。ああいうのを“若はげのいたり”というのだ」、という「はげたか」の独白は「おちょくり」です。

 

 

「ジョシ」を問う

 

教授:「ジョシ」「フクシ」「セットウゴ」「レンタイケイ」の勉強をしてみる。例文を出すから、右脳で考えてみるように。

 

春子と明子は、老人ホームにストーブを贈った。しかし、それは盗んだものであった。 

 

さて、この文で、「ジョシ」はどれかな。 

生徒:…………………

教授:こんな簡単なことが分からぬようでは、いかんぞ。

    登場人物は2人だな。誰と、誰だ。

生徒:春雄と明子です。

教授:そうだな。 春雄と明子だ。では、 春雄は男か、それとも女か。

生徒:男です。

教授:そう、春雄はダンシだ。

     じゃ、明子は?

生徒:女です。

教授:春雄がダンシだから、明子は「ジョシ」だな。

    「ジョシ」は、明子。先に進むぞ。疑問を抱くな。

    2人は、老人ホームにストーブを贈っている。

    こういう行為を「フクシ」という。

    しかし、次の文に盗んだとある。盗む、これは、

    「セットウゴ」だ。

    さらに、それを2人共同でしているから、

    「レンタイケイ」でもある。

     今日の授業はここまで。

生徒:起立。礼。

 

 

シュゴは?「ジュツゴ」は?

 

明子は、春雄の手術成功を祝い、軽くビールを飲んだ。彼が元気になれば、老人ホームへ慰問することになるだろう。ホームのポールにハタハタとなびく旗を思い浮かべる明子でであった。 

 

この文で、シュゴはどれだ? 

 

生徒:明子です。

教授:バカモン。前回、何を学んだ。明子は、「ジョシ」だったでは

    ないか。文をよーく読んでみよう。明子はどうしたと書いてある。

生徒: 軽くビールを飲んだとあります。

教授:そう、ビールを飲んだ。で、飲んだ後、どうした。

    老人ホームへの慰問を考えたな。つまり、これが「シュゴ」だ。

生徒:どうしてですか。

教授:慰問することを、 いつ考えた?。ビールを飲んだ後だろう。「シュ

    ゴ」(酒の後)じゃないか。この場合、ビール、ウイスキーといった

    酒の種類は問われない。酒の場だ、かたいことは抜きだ。

    「ジュツゴ」は、どうか。 こちらは難しくないだろう。

生徒:春雄ですか。

教授:どうして、「ジュツゴ」か、説明したまえ。

生徒:手術成功とありますから、「術後」ではないかと。

教授:よく言った。勉強の面白味、裏読みが少しは分かってきたようだ。

    そうだ、春雄は「ジュツゴ」だ。次に「ドウシ」だが、これは、 明子

    と春雄の関係に注目するとよい。仲がよさそうだな。この2人はたぶ

    ん、恋人「ドウシ」だ。「ね ね ぬ ぬる ぬれ ねよ」ナ行下2

    段活用かもしれんな。いや、羨ましい。先生などは。いや、話がそれ

    た。ここまで言えば、「ケイヨウシ」は説明するまでもないはずだ。

生徒:…………………

教授:勉強は奥深いだろう。だから、楽しいんだ。形容詞の定義を思い出そ

    う。事物の性質や状態を表す単語を形容詞という。ここでは何かな。

    ハタハタとなびく旗が、これだな。旗は、どこにある。ポールに「ケ

    イヨウ」する。ここは、試験に出すぞ。

  生徒:起立。礼。

 

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